我らの時代のちゃんこダイニング

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 僕たちがまだ若かった頃、仲間たちと集う街には必ずと言っていいほどちゃんこダイニングがあった。一軒しかない時期もあれば、急に流行して十軒以上に増殖したこともある。徒歩数分以内にちゃんこダイニング同士が、まるで田舎の同じ苗字の家のように幾つも存在し、時に互いに満員を謳歌し、時に互いに客を奪い合った。そして流行が収束すると一軒、また一軒とちゃんこダイニングは減少していき、遂には……。

 いや、もうよそう。失われたちゃんこダイニングについて思い出すのは。僕たちが今、語らなければならないのは、これからの時代のちゃんこダイニングについてのはずだ。

「ちゃんこ」と僕が言う。

「ダイニング」と君が言う。

 まずはそこから始めてみよう――